2026.10.20

セルビッジデニムの生地(Fabric)とは?シャトル織機とロープ染色から読み解く

薄暗い工場に旧式の織機が何列も並び、手前の織機ではインディゴの生地が巻き取られている
旧式の織機が並ぶ機屋の工場。

KUROのデニムには、20世紀初頭のヴィンテージデニムをリプロダクトした、希少なセルビッジデニムを使っています。国内に300〜400台程度しか残っていないとされる旧式のシャトル織機で、時間をかけて織り上げた生地です。ロープ染色による深いインディゴと、しっかりとした生地の風合いが特徴で、モデルによって12.5オンスから13.5オンスまでを使い分けています。

どんなヴィンテージデニムをもとにしているのですか?

1800年代後半から1900年代前半にかけて、アメリカの初期のワークジーンズに使われていたアモスケーグ社の生地がベースです。

アモスケーグ社は、アメリカ・ニューハンプシャー州にあった紡織会社です。ワークウェアとしてのジーンズが形づくられていった時代の生地を手がかりに、糸の太さや織りの密度、色の深さを組み立て直しています。KUROのデザインが参照している1890年代のモデルや、5ポケットが完成した1937年のモデルと、同じ時代の生地を合わせていることになります。

白い綿糸を巻いたコーンが縦に並び、そこから無数の糸が引き出されている
生地は一本の糸から始まる。コーンから引き出される綿糸。

シャトル織機で織ると、何が違うのですか?

緯糸(よこいと)が生地の端で折り返されるため、ほつれない「耳」ができます。これがセルビッジです。

シャトル織機は、緯糸を巻いた杼(シャトル)を左右に往復させて織る旧式の織機です。現在主流の高速な織機に比べて生産量は限られ、織れる幅も狭くなります。そのかわり、糸に余計な張力をかけずにゆっくり織るため、生地の表面に細かな凹凸とムラが残り、穿き込んだときの色落ちに立体感が出ます。

TOYODAの銘板がついた織機。並んだ金属の部品の下で、インディゴの生地が織り上がっていく
TOYODAのシャトル織機。手前に織り上がったばかりの生地が送り出されていく。

国内に残るシャトル織機は300〜400台程度と推測されています。多くは古い設備を補修しながら動かしており、セルビッジデニムは発注から入荷まで2年近く待つことも珍しくありません。KUROにとって、この生地を使い続けられること自体が大きな財産です。

デニムの裾を折り返した内側。生地の端に白い耳と細いピンクの線が見え、インディゴの表と白っぽい裏のコントラストが分かる
裾を折り返すとのぞく、セルビッジの耳。生地の端がほつれずに閉じている。

ロープ染色とは、どんな染め方ですか?

糸を束ねてロープ状にし、インディゴの染液に浸けては空気にさらす工程を何度も繰り返す染め方です。

ロープ状に束ねられた糸が何本も並び、ローラーに導かれて染色機の中を通っていく
ロープ状に束ねた糸が、ローラーに導かれて染色機を通っていく。

インディゴは空気に触れて酸化することで青く発色します。浸けて引き上げる工程を重ねるたびに色は深くなりますが、染料は糸の表面から染み込むため、芯には白さが残ります。穿き込んで表面が擦れると、この白い芯が少しずつ現れ、濃いインディゴとのコントラストとして色落ちになります。

染め上がり、ロープの形のまま箱の中に積み重なったインディゴの糸の束
染め上がったロープ。このあと解きほぐされ、経糸として織機にかけられる。

染める回数を減らしたり、安価な染料に置き換えたりすれば効率は上がりますが、色の深さと色落ちの質は変わります。日本のロープ染色が海外から評価されているのは、この手間を省いていないからです。同じロープ染色でも、染め工場ごとの染料や水の管理によって、色の落ち方には違いが出ます。

織機にかけられたインディゴの経糸が、細い金属の部品を一本ずつ通って並んでいる
手の甲から指先まで、インディゴで青く染まった職人の両手
左:織機にかけられた、ロープ染色の経糸。右:インディゴに染まった職人の手。

オンスの違いで、何が変わるのですか?

生地の厚みと重さが変わり、シルエットの出方や穿き心地、色落ちの表情に影響します。

オンスは、1平方ヤードあたりの生地の重さを表す単位です。数字が大きいほど厚く重い生地になります。ヴィンテージタイプのデニムでは14オンス前後が一般的ですが、KUROはモデルに合わせて12.5オンスから13.5オンスの範囲で生地を選んでいます。

軽めの生地は落ち感が出て、ワイドなシルエットでも裾まできれいに流れます。重めの生地は張りがあり、ジャケットの身頃やストレートのラインを立体的に保ちます。重さだけで良し悪しを決めるのではなく、そのモデルの形と、穿き込んだ先の表情に合う一枚を選んでいます。

デニムパンツ FORM ワンウォッシュ
PANTS - FORM
デニムパンツ TRACE ワンウォッシュ
PANTS - TRACE
デニムジャケット RATIO ワンウォッシュ
JACKET - RATIO
デニムジャケット VOID ワンウォッシュ
JACKET - VOID

STANDARD DENIM / ONE WASH

手前に草むら、その先に広い水面と家並み、遠くに山並みが続く夕方の風景
産地の風景。

よくある質問

セルビッジはどこで確認できますか?

パンツの場合、脚の外側の縫い代に生地の耳が使われています。裾を折り返すと、端がほつれずに閉じた耳の部分が見えます。

軽いオンスの生地は、弱くないですか?

オンスは重さの目安で、丈夫さだけを表す数字ではありません。糸の太さや打ち込みの加減によって、軽くてもしっかりとした風合いの生地になります。KUROでは、ヴィンテージを意識した太い糸を使い、打ち込みを調整することで、柔らかさと生地の張りを両立させています。

色落ちを抑えたいときはどうすればいいですか?

洗濯の回数を減らし、洗うときは水での手洗いがおすすめです。洗濯機を使う場合は、予期しない折り目や筋が入りやすいドラム式を避け、水量の多い縦型洗濯機を使ってください。

生地はどこで作られていますか?

製品の内側のタグに、生地・縫製・加工を担当した工場名を記載しています。どこで、誰が作ったかを正しく伝えるため、ブランド立ち上げ当初から続けていることです。